秋の夜長に誘われて
吹く風が時に冷たく感じる頃となり、林を歩けば真っ赤な烏瓜の実が目につく頃となりました。皆様にはお変わりなくお過ごしでしょうか。
草むらではコロナ禍が始まって何となく鬱積した日々と忍耐の中、残念ながら4人のメンバーさんが亡くなりました。こんなことは法人が始まって21年来初めてのことです。以前、「生きることが修行」だと言っていた方がいました。今になって心に染みます。まさに人は生きているのではなく生かされている、そのことに感謝の気持ちを忘れることなく、淡々と流れに逆らわず、自分を見失うことなく、それを活かして人生を全うする不逆流星、すべての人が全うできるような社会が早く来ることを願わずにいられません。
秋は自然の恵みが溢れる季節でもあり、過ごしやすく、ついつい秋の夜長に夜更かしをしてしまいます。そして、いろんなことが走馬灯のように浮かんできます。21年前、メンバーさんや親たちと30人ぐらいで始めた会が、今、メンバーさん達で約480人、職員も約170人。組織もNPO法人多摩草むらの会、農業法人株式会社グリーンガーラ、社会福祉法人草むらと3つの組織に分かれました。でも、どんなに大きくなって組織が分かれたとしても常に広い心を持って、オール草むらで、いかにしてメンバーさんたちにとって過ごしやすい草むらであり続けるかをコンセプトに、力を合わせて、多種多様な困難を乗り越えていきたいと思います。
私の好きな高田敏子さんの詩、~右の手の悲しみを左の手が支え、左の手の決意を右の手がうける
~豊穣の秋、食べすぎませんよう滋味溢れる食物に力をもらい、健やかな身体で日々活き活きと過ごされますよう祈っております。
代表理事 風間美代子
深秋を迎えて
吹く風に冷気を感じる頃となり、何となく身体全体が引き締まってエネルギーが湧いてくるような気がいたします。昨年11月に行われた夢畑での感謝祭の賑わいが、なんだか遠い過去の思い出のように思えます。今年は残念ながらコロナ禍で中止にしましたが、その分、来年は盛大に開催するつもりです。皆様、どうぞ今から楽しみにしていてくださいね。
先日、出先でまさに黄金色に染まった稲を見る事が出来ました。青く猛々しく育った稲が、時を経て柔らかく色づき、頭を垂れる姿を見ていると、若い頃よく聞かされた「稔るほど頭をたれる稲穂かな
」の言葉が浮かびます。風に吹かれるままに優しく揺れている稲穂を見ていたら、なんだか肩の力が抜けて大きく深呼吸をしたくなりました。
昔見た映画だったと思いますが、その中で主人公のお爺さんが言った台詞、「暗夜を進む力強さは誰にも負けない
」とても印象に残っています。まだまだ暗夜の重さもわかっていない頃だったと思いますが、後にその言葉が佐藤一斎の「一燈を提げて暗夜を行く
」から来たとわかった時、私にとっての一燈とは何だろうかと、かなり考え込んだ事がありました。皆様にとっての一燈は何でしょうか。以前、当欄でもこのことに触れた事がありますが、メンバーさん達と共に歩くという一燈は、果たして草むらの中では統一されているんだろうかと、晩秋の風に吹かれながら久し振りに自分を振り返ってみるひと時ができました。これはきっとコロナで行事や会合が少なくなったおかげかもしれませんね。きっと、迷っても信念を頼りに歩いて行けたら逆境の中でも燈は見えてくると思います。
兎も角、大変な社会情勢の中ではありますが、今は前進あるのみです。SDGs、国連が掲げる持続可能な開発目標、「誰一人取り残さない
」。本当に現場のスタッフの方々にとりましては大変な事だと思いますが、オール草むらで一致団結し頑張っていかなければと思います。どうぞご支援のほど宜しくお願い申し上げます。
そろそろ北国からは初雪の便りが届く頃です、内から外から心身を温めて来たる冬に備えましょう、皆様が日々笑顔で過ごされますよう祈ってやみません。
代表理事 風間美代子