草むら通信(2021年9月)ウェブ版

目次

巻頭言
月に思いを乗せて 代表理事 風間美代子
寄稿 医療のおはなし
発達・思春期の精神科ってどんなところ? 東京さつきホスピタル 副院長 遠藤 季哉
トピックス
中高生によるチャリティムービー活用報告
コロナ禍でも適度な運動を心掛けましょう!!

月に思いを乗せて

猛暑の日も9月半ばを過ぎますと、いつしか遠のき心地よい風に乗って秋の気配が漂い始めました。皆様は無事にこの夏をのりきられましたでしょうか

実りの秋、収穫の秋、そして、一年中で空が最もダイナミックに澄み渡り、月が最も明るく美しいとされる9月。今年の十五夜は満月を見ることができるでしょうか。

古より人々の月に寄せる想いは特別のものだったようです。お供えの団子等が丸いのは、月の満ちる姿を模したもので、豊作祈願や収穫祝いに加えて、物事が全て丸く収まるようにとの願いが込められているようです。季節に寄り添いながら、自然への感謝を伝え継ぐ大切な行事として意味深いものを感じます。

そして、9月は色々な意味でスタートの月でもあります。気を引き締めて、もう一度出来ることと、できないことを見極めながら一歩一歩、出来ることには惜しみなく力を注ぎ、出来ないことには次のチャンスを待ち、決して諦めることなく前進あるのみの気持ちで歩き続けて行きたいと思っております。

季節の変わり目です。夏の疲れなどが出やすい時でもあります。健康にはくれぐれも気をつけて、無事に十五夜の月を、見上げる場所はそれぞれでも、同じ想いで愛でられますよう祈っております。

代表理事 風間美代子

寄稿 医療のおはなし 発達・思春期の精神科ってどんなところ?

昨年6月に開院した東京さつきホスピタルは,幅広い年齢の方のためのこころのケアセンターを目指し,発達・思春期精神科を開設しました。この科では小学校高学年から18歳までの子どもの精神的問題全般に加え,18歳から35歳くらいまでの方の発達障害を対象に診療を行っています。常勤医師4名に加え,外来に非常勤医師が3名います。

思春期の精神科は,特別な子どもだけが来るところではありません。受診の理由は,気分の落ち込みや幻覚・妄想などの「症状」ばかりでなく,登校できないこと,ゲームに熱中しすぎること,家族とすぐケンカになること,友達ができにくいこと,授業に集中できないことなど,生活の中で珍しくない問題であることも多いのです。その背景を本人や家族と一緒に考え,環境調整や助言をしたり,症状に応じて薬物処方をしたりするのが思春期精神科の役割です。家族に対しては,心配する気持ちを受け止め,子どもの状況を理解してもらうことも重要な仕事です。25床の思春期病棟では,子どもたちの自律性を重視し,看護師や心理師をはじめ様々な職種が関わって,実生活に近い枠組みの中で退院後へのスムーズな移行を目指して入院加療を行っています。

成人の発達障害の方には,単に診断をつけるだけでなく,生きづらさの理由を共有し,その人らしい社会参加の方法を一緒に考えることを試みています。社会的スキル獲得の援助も行いますが,存在の意義をご自身にも周囲の人にも再確認してもらうことを重視して診療にあたっています。

東京さつきホスピタル 副院長 遠藤 季哉

トピックス

中高生によるチャリティムービープロジェクト活用報告

有効に活用してまいります

1月18日(月)に無事完了した、中高生が主役となり、コロナ禍で奮闘する NPO の動画を制作し寄付を集め応援するプロジェクトおよび関連事業での収益金¥411,884 をご寄付としていただいておりました。

この度、目的としておりました、ウェブページの作成・保守事業とフォトグラファーズ活動の拡大のための機材の整備が完了いたしましたので報告いたします。

購入機材:

  1. 液晶ディスプレイ 3 台 = ¥44,100
  2. パソコン 3 台 = ¥290,334
  3. 一眼レフカメラ 1 台 = ¥132,000

事業金額合計 ¥466,434(寄付金:¥411,884、自己分担金:¥54,550)

皆様からお寄せいただいたご厚意は、事業発展に活用させていただきます。

ご支援を頂いた皆様、動画を作成された中高生の皆様、そしてこの企画を主催し運営された公益社団法人日本フィランソロピー協会の皆様、サポートに当たられた学生の皆様、企業の皆様、誠にありがとうございました。今後とも、どうか末永いお力添えを頂きますよう宜しくお願い申し上げます。

コロナ禍でも適度な運動を心掛けましょう!!

新型コロナの感染拡大が収まらず外出自粛が叫ばれており、ストレスがたまり不安な日々をお過ごしの方もおられることでしょう。家に閉じこもり、体を動かさないでいると、肥満がちになり、うつうつして、心身の健康にあまり良くありません。

認知行動療法のスキルの一つに「行動活性化」があります。やる気が起きるまで何もしないのではなく、行動を通じてやる気を呼び起こしていく方法です。「元気があれば何でもできる」ではなく、「何かをすれば元気も出てくる」との考え方です。自分はできないと決めつけず、エネルギーが少したまってくれば、できることから少しずつ無理のない形で行動して、気分の改善を図っていくのです。「笑う門には福来る」がその例です。

テレビをつけるとコロナ禍でいろんな筋トレ体操や運動を毎日のように紹介しています。夢来でも気功健康体操&笑いヨガをはじめ散歩、卓球教室そして最近ではゲートボールも行っています。気軽に一緒に行動して楽しんでみませんか(勿論コロナ感染防止には充分留意しなければなりません)。

ただ、運動、体操と言ってもやりすぎには注意しましょう。良いからと過度にするのはかえって逆効果です。バランスが良く調和ある適度でなければなりません。

今、NHK 大河ドラマで渋沢栄一主人公の「青天を衝け」を放映していますが、そこに江戸幕府を開いた徳川家康が毎回出てきて語りがあります。先般、家康が「及ばざるは過ぎたるより勝れり」と言っていました。及ばない方が過ぎることよりもっと勝っているとのことでした。この遺訓にはとても感動しました。これは精神科医、故斎藤茂太先生提唱の「人生80%主義」と同じようです。心して実践していきたいものです。

夢来 安東邦彦

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