草むら通信(2021年4月)ウェブ版

目次

巻頭言
花々の香りに包まれて 代表理事 風間美代子
寄稿 障害者雇用のおはなし
恩方病院での道のり 恩方病院内科病棟 手塚 靖(草むらの会OB)
雇用側の支援者として 恩方病院支援担当師長 高岡浩子
トピックス
助成金で椎茸栽培用ビニールハウスエアコン設置 社会福祉法人清水基金
瑞穂農芸高校農福連携プロジェクト報告 お食事メニュー提供とテイクアウト販売開始
理事紹介
藤本 豊

花々の香りに包まれて

早朝の公園を抜け林の中を歩いて行きます。足元は一面柔らかな緑に囲まれています。透明な朝の空気を胸一杯吸い込むと、萌えいづる生命の香りがします。今回は何だか何時もよりコロナのせいでしょうか、冬が長く重く感じられました。皆様はどう感じられましたでしょうか。

最近“自助”と言う言葉を目にする事が多くなりました。昔から自助努力という言葉はよく聞かされていたので耳慣れた言葉ではありました。自助と自立、要するに自分で考え自ら行動しなさいという事だと思いますが、そんなに簡単なことではなく意味はとても広くて深いものだと思います。

私達がメンバーさんに対してその言葉を使う時は要注意! ともすると気づかず上から目線で言っていたり、早く話を切り上げようとしていたり、特に私など疲れている時や対応に自信が持てなくなって、最後まで話を聞く事が辛くなってしまった時にあたかも水戸黄門が「これが見えぬか」と印籠を出していたようにこの言葉を使っていた気がします。後で反省することしきりでした。

障害者でなくても年齢を問わず本当の自立をしていくことは大変です。特に精神的に多種多様な問題を乗り越えて行かなければならず、一人ではとても無理だと思います。節目節目にいろんな方々に助けて頂きながら私もここまで来る事ができました。特に、ほとんどの方々がご自身の家族を持つ事がないメンバーさんたちにとって、良き支援者との出会いは何にも増して生きていく上に必要にして不可欠なものだと思います。こんな事を考えている時、ひとり一人にとって草むらの中で本物の出会いがあることを願わずにいられません。

「三日見ぬまの桜」とはよく言ったものです。あっという間に桜吹雪が舞い、いつの間にか葉桜に…人の命も長いようで短いなと最近つくづく感じます。周りにどう思われようがしっかり自分の夢を持ち続けていく事はとても大切な事だと思います。でも、その夢が周りのみんなを幸せに出来る夢だったらもっと素晴らしいことではないでしょうか。どんな時でも可能性を信じて、草むららしく歩いてゆきます。皆様の応援にいつも励まされています。ありがとうございます。季節の変わり目です。どうぞご自愛ください。

代表理事 風間美代子

寄稿 医療のおはなし

恩方病院での道のり

恩方病院に勤め始めたのは2年半くらい前です。最初はパート社員からスタートで勤務時間は1日4時間の週4日からでした。体力的には問題ありませんでしたが、メンタルの問題がありました。当初はガチガチで周囲とろくに話もできず、話しかけられてもあまり反応できませんでした。そこで助けられたのは支援担当者でした。周囲に上手く溶け込めない僕の話を丁寧に聴いてくださいました。一時期は辞めようかとも思いましたが、その時も話を聞いて下さり、なんとか持ち直しました。病棟の上司も業務の相談に乗ってくださいます。また、一か月ごとの業務の振り返りがあり、その時に草むらの会の方に訪問型ジョブコーチとして話をきいてもらい、とても助かっています。

今では僕も周囲とコミュニュケーションが取れて、冗談を言って笑ったり、仕事の相談をしたりして馴染んできています。その様子をみた支援担当者から「上手くやっているようで安心しました」と言ってもらえました。今後も色んな方に支えてもらいながら恩方病院で頑張っていきたいです。

恩方病院内科病棟 手塚 靖(草むらの会OB)

雇用側の支援者として

手塚さんはコミュニュケーションの苦手な面はありましたが、体力的にも安定しており、仕事の飲みこみも早く、16時間からスタートした勤務も徐々に時間数を増やし、1年半後には正社員となりました。もう安心と思った矢先に本人から「辞めたい」の言葉はまさに青天の霹靂でした。彼が投げた不安のボールを気づかずにいたことが原因でもありました。繊細な彼の悩みを聴き、自分の考えも伝え誤解を解いていったあの時間はとても貴重な経験でした。

生活のリズムが安定してきた手塚さんは昨年の4月から通信大学に在籍し、1年を高評価で終了しました。毎日コツコツと学ぶ彼の姿に刺激を受け、尊敬もしています。就労は就職が決まったことがゴールではなく、働く中で出てくる悩みや課題に1人で抱え込むのではなく聞いてくれる支援者や仲間を増やし、自分で乗り越える力を育てる事も大事だと感じています。今の手塚さんの笑顔が続くように見守っていきたいと思います。

恩方病院支援担当師長 高岡浩子

トピックス

助成金で椎茸栽培用ビニールハウスエアコン設置 社会福祉法人清水基金

このたび、社会福祉法人清水基金より2020年度NPO法人助成事業として「就労継続支援B型事業所夢畑椎茸栽培用ビニールハウスエアコン設置工事」決定の通知を頂きました。(2021年1月28日付)

温度管理と散水のコントロールができるビニールハウスの設置を行うことで、椎茸の品質維持と季節要因のリスクを排除した安定収穫が行えるようになり、利用者工賃の原資となる売り上げの向上と作業に参加する利用者の環境の改善になります。また、安定した収穫によって法人全体で取り組む6次産業化の収益向上に大きく貢献します。ありがとうございました。 事業総額:8,325,000円(予定)助成金額:6,600,000円(予定)自己負担金:1,725,000円(予定)

瑞穂農芸高校農福連携プロジェクト報告 お食事メニュー提供とテイクアウト販売開始

農福連携のさらなる認知度向上をめざして2年目となる瑞穂農芸高校生との協働プロジェクト。今年は、高校生の育てた幻の豚肉(中ヨークシャー)を畑deきっちんのメニューに限定提供いたしました。今回は豚肉と同時に高校生の育てたとれたて鶏卵も畑deきっちんの調理材料として使用しました。一方、ぶるー夢ではお持ち帰り用ローストポークを製造。遊夢での販売や、どりーむふぁーむ夢畑カレー店のお惣菜として提供しました。

試食会はコロナ感染拡大の緊急事態宣言下でもあり、学校と畑deきっちん店舗とに別れて、リモートで行い成果品を味わいました。

ランチ
試食会

理事紹介

藤本 豊(理事年数:NPO法人多摩草むらの会理事5年)

理事としての経験の中で良かったことは?
多摩草むらの現状について話せたこと。
これから草むらでやりたいことは?
若い世代が主体的に活動できる運営体制を作ることです。
好きなことは?
フルート。今は里山整備に汗してます(^^)/

【 読者へのメッセージ 】

コロナ渦(コロナの渦の中という意味で)で支援されている職員に感謝です。居場所が、グループホームが、お店が出来たらとの夢をみんなで話して、四半世紀後の今実現しました。夢の草むらをみんなで一緒に話しましょう!

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