草むら通信(2022年4月)ウェブ版

目次

巻頭言
風光る 代表理事 風間美代子
寄稿 医療のおはなし
診療報酬改定とこれからの精神科医療について(1) 医療法人永寿会 恩方病院 事務長 森本 祐治
トピックス
インターネットでの広報活動

風光る

吹く風が肌に快く感じられ、軽やかな鳥の歌声が何処からかライラックの香りに乗って聞こえてくるようになりました。桜吹雪の中で思いっきり声をあげて笑い合いたい! 今年はもう我慢の限界かなと思うことがあります。皆様は如何でしょうか。四季の移ろいに、つかのまの美しさを感じて来た日本人にとって、うららかな陽気と共に、桜の儚い美しさを思いっきり楽しんで来れた春の日々は、何物にも代え難い宝物でした。何だか遠い昔に思えます。

今、現実の社会では、昔では考えられなかったような、我が子を死に至らしめる虐待等が頻繁に報道されています。このような、様々な形で人の心を傷つけ、疲れ果てさせるような情報が否が応でも耳に入って来てしまいます。自分自身の心をどう守り、どう育てて行くのか。抱えてしまったストレスと向き合い、少しずつ心を育て、実りのある想像力や夢の実現へと変えていけるよう、日々精進して行くことを自身に言い聞かせ、日夜自問自答しております。

先日、新聞で精神障がい者が幅広く入れる国内初の専用がん保険が東京海上日動火災保険から発売されたという記事を読みました。思わず6年前に癌で亡くなったメンバーさんを思い浮かべてしまいました。もう少し早くにできていたら別の治療を受けさせてあげられたかもしれないのに…どちらにしろ朗報です。また一歩、精神障がい者が社会に認知されたような気がします。

花冷えの頃は体調を崩しやすい季節でもございます。春の土の温かさ、草の香りを楽しみながら穏やかな日々を過ごされますよう心より願っております。

代表理事 風間美代子

寄稿 医療のおはなし 診療報酬改定とこれからの精神科医療について(1)

草むらの会より依頼を受け、診療報酬改定とこれからの精神科医療に関するお話をさせていただくことになりました。コンパクトにまとめるつもりですが、あまり端折るとかえってわかりにくくなってしまうので、何号かに分けての掲載になると思います。

さて、皆さん、「診療報酬」とは何かわかりますか? わかりやすく言うと、診療所や病院などの医療機関が患者さんへの診療を行った際に受けとる報酬のことです。医師の診察料や、看護師による処置や、薬剤師による調剤など、それぞれの診療行為に厚生労働省が定めた点数があります。患者さんがその日に受けた診療行為の点数の合計をまとめたものが診療報酬になります。一般的に合計点数の3割分を患者さんにお支払いいただき、残りは患者さんが加入する健康保険から支払っていただきます。

医療機関では、このようにして得た報酬で運営を賄うことになります。病院を建てたときの借入金の返済またはテナントの家賃、水光熱費、医師や看護師などの職員の給料、診療機材のリース料、薬剤購入費…etc。診療報酬による収入と諸経費による支出のバランスが取れないと運営ができなくなってしまいます。それだけに、医療機関にとって診療報酬は大切なものなのです。

診療報酬は基本的に2年ごとに改定されます。先に述べたように報酬を決めるのは厚生労働省なので、改定を行うのも厚生労働省です。国民の医療の必要度により、診療報酬を上げたり下げたりもしますが、新たに作成する項目や廃止する項目などもあります。

例として、今年の4月に行われる診療報酬改定では、不妊治療に対する保険適用を認めました。今までは全額が患者負担で、高額な費用を要していましたので、子を望む方たちには明るい話題となりました。また、長引く新型コロナへの対策として、医療機関が行う感染対策への臨時的な特例を継続するなど、社会情勢に合わせた改定が行われます。

各医療機関では、診療報酬改定のたびにシミュレーションを行い、現状のままで運営が成り立つのか否かを判断することとなります。

もしも、現状のままで運営が維持できないのであれば、新たな診療に取り組んで報酬を得られるための体制整備を行う、逆に無駄な診療を廃止するなどして、コストを削減して収支のバランスを取るように考えます。

ここまで読んでいただいてお分かりの通り、医療機関も経営の仕組みは一般の企業と同じです。運営を長く継続していくためには、様々な「企業努力」が必要なのです。(次号に続く)

医療法人永寿会 恩方病院 事務長 森本 祐治

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